preface 〜はじめに〜
伝統的な大原則を知っておきましょう!
有能なビジネスマンであっても、エチケットやマナーを失したために、不本意な評価を受けてしまうことがあるものです。
そして、怖いのは「知らない」こと。自分では全く悪気のない行動が実はとてつもなく礼を失した立居振舞となっていることが往々にしてあります。
後から知り、ゾッとしてもはや後の祭りの冷や汗をかく中間管理職の方も結構いるものです(^_^;)。
若い方の中には、「いまどきはやらない」・「前近代的でナンセンス」・「非民主主義的」と思われる向きもありますが、会社組織・ビジネスシーンはそもそもが民主主義的なものではありません。
このことをしっかりと自分自身に言い聞かせ、理解してください。
そのうえで、伝統的なしきたりとマナーについて一通りはさらっておきましょう。
基礎・基本を知りマスターしたうえで、時と場合に応じて−−あくまでも基本をベースとしつつ−−自分なりのアレンジを加えることができるようになったら素晴らしいことです。
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chapter 001 目上の人・上役と一緒のとき
§.1 目上の人・地位が上の人と一緒に歩くとき
社長や専務はもとより、上役に随行するときは、必ず後ろに位置します。さらにこの場合、後ろに二人随行するときは、右後ろが上位となります。
ただし、先導して説明して歩くような場合、先に行ってドアを開けたり、エレベーターのボタンを押したり、タクシーを止めたりしなければならない場合は、随行者が先に出るべきです。
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§.2 目上の人と歩道を歩くときの留意点
車道がある場合は、下位の者が車道側を歩きます。上の人を危険にさらさないための配慮です。
こどもと一緒に歩く際に、同様の配慮をすべきである旨が大抵の保育関連書に書かれています。
目上の人は自分にとって「危険にさらしてはならない保護すべき人」ということです。
ちなみに、昨今の整備された広い歩道は、猛スピード自転車や夕刻〜夜間の無灯火自転車が音もなく背後から迫ってくる、車道よりもむしろ危険な道となってしまっています(→実際に歩道内での自転車と歩行者との接触事故が増えています)。こういう道を一緒に歩く場合は、真ん中よりも端寄り1/3〜1/4レーンを意識して歩くことをお勧めします。
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§.3 エレベータで、上役と一緒になった場合
乗るときは、下位の者が先です。降りるときは、上位の者が先です【=下から乗って上から降りる】。
下位の者が先に降りざるをえない場合には、上位の者をエレベータの前で迎える姿勢で待ち、上位の者が歩き出してから下位の者が歩き出すのがビジネス上の常識的マナーです。
ただし、エレベータが混んでいるとき、多くの人が待っているときは、この限りではありません。「お先に失礼します」といった程度に声をかけておけば問題ありません。
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§.4 職場以外の場所(…例えば飲み屋)で上司に会ったとき
こちらはプライベートタイムです。ただ、仕事に関係ないからといって無視するのもドライ過ぎますし、かといって上司の傍らになれなれしく寄っていく必要もありません。先方もプライベートタイムを楽しんでいるのかもしれませんし、誰かと仕事上の打ち合わせをしに来ているのかもしれません。
したがって、その場の雰囲気に合わせるしかありません。
先方に、それとなく合流したがっている様子が見えて、あなた自身にも差し障りがなければ合流してもよいですし、そうでなければ会釈のみで放っておいても何ら問題はありません。
ただし、合流しない場合でも酒の勢いに任せて会社批判・上司批判だけは大声で絶対にしてはなりません。その自信がなければ、店を変えるのが無難でしょう。
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chapter 002 席次
§.1 列車の席次
二人がけの場合は、窓際が上席となります。
三人がけの場合は、窓側が上席、通路側が次席、中央が末席となります。
指定席の番号が上記の通りになっていない場合、下位の者は一応変更を提案すべきです。
ちなみに、向かい合わせのボックスシートに座るときの席次は次の通りです。
- 進行方向を向いた窓側
- 進行方向とは逆の窓側
- 進行方向を向いた通路側
- 進行方向とは逆の通路側
※「窓際優先」と覚えておきましょう〔・・・ちょっとイミシンかも(^_^;)〕。
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§.2 乗用車の席次
◆三人で乗る場合の席次◆
- 運転席の真後ろ
- 運転席の対角線上の後ろ窓側
- 運転席の隣
◆四人で乗る場合の席次◆
- 運転席の真後ろ
- 運転席の対角線上の後ろ窓側
- 後ろの真ん中
- 運転席の隣
ただ、これは頭の中で覚えておけばよいことです。途中で先に降りる人がいる場合は、合理的に考えて先に降りる人が降りやすい窓側に座ってもよいでしょう。
※ちなみに、社用で勤務時間中に上役と乗り物で移動するに際して、居眠りは絶対にしてはなりません。上役が高いびきで熟睡し始めたら多少のおつき合いは許されるかもしれませんが、その場合でも上役よりも早く目覚めることが肝要です。
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§.3 応接室での席次
会社の応接室には、大抵長椅子(ソファ)と一人用肘掛椅子が置かれています。
この場合、ソファが客用、一人用肘掛椅子が自社用であることがほとんどです。
部屋には上座・下座もあり、入口に近いほうが下座となります。常識をきちんとわきまえている大部分の会社は、上座にソファを置いていますが、会社によってはナント下座にソファを置いているところもあります(@_@)。・・・こういう会社を訪問した場合は、このカイシャ大丈夫かな〜と一瞬にして不安になると同時に、上層部の人々の「レベル」を考えざるを得なくなります(・・・→サ・イ・テーかも・・・)。
そんなこんなで、どっちに座ったらいいんだよぉ〜と戸惑うこともままあります。
したがって、応接セットの配置が奇妙である他社を訪問したときは、こちらへどうぞと誘導されるまでは、下座で立って待っているのが無難ということになりましょう。
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chapter 003 時間のエチケット
会社を訪問する場合の時間のエチケット
約束の時刻の5分前に受付に名刺を通すのがベストです。
これが15分以上早いと、相手のスケジュールをかき乱すことになり、迷惑がられます。早く着きすぎた場合は5分前まで建物の周囲をお散歩でもして待ちましょう。世間話のネタを偶然見つけることだってできます。
一方、遅刻は論外ですが、約束の時刻の5分前にきちんと理由と遅れるおよその時間を連絡することで、かえって信頼感を勝ち得ることもない話ではありません。ただし、遅れて到着しても先方の業務に支障がないかどうかを必ず確認しましょう。
※ただし、事前連絡さえ入れれば遅刻は許されるとは絶対に思わないでください。こと「遅刻」に関して、「仏の顔は二度まで」(→連続は不可!)です。
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chapter 004 人の紹介
人を紹介する場合の順序
◆地位が違う場合、地位の高い人へ地位の低い人を先に紹介します。
- 「こちら私の友人で、瑞穂銀行本店営業部の下谷君です。」
- 「こちらは、富士商事の高井常務です。」
◆年齢が違う場合、高年齢者へ年下の人を先に紹介します。
- 「こちらは私の同僚で、同じ総務部の下谷と申します。」
- 「こちらは、いつもお世話になっている瑞穂銀行の高田さんです。」
◆地位・年齢とも同じような場合、自分との親しさで決めます。基本的には、親しさの浅い人へ親しさの深い人を先に紹介します。
- 「こちらは、私と同じ大学を出て瑞穂銀行に入行した深井君です。」
- 「こちらは、私がいま仕事の上でお世話になっている富士商事の浅見さんです。」
◆男性と女性の場合、女性に男性を先に紹介します。ただし、地位や年齢が著しく違う場合は、男性に女性を先に紹介しても差し支えありません。
- 「こちらは、私の友人の根本君です。」
- 「こちらは、会社の同じ課の花平さんです。」
◆他社の人に自社の人を紹介する場合、他社の人に自社の人を先に紹介します。
- 「こちらは、私の社の社長の平野です。」
- 「こちらは、いつもお世話になっている赤地商事経理部の江良係長です。」
◆一人を大勢の人に紹介する場合、大勢の人に先に一人を紹介し、次に大勢の人を順番に紹介します。
- 「こちらが、今日から営業一課に配属された東君です。人事研修を終えたばかりで営業の仕事は初めてなので、いろいろと教えてやってください。」
- 「東君、ウチの課のスタッフを紹介します。向かって右から田代主任、石川君、紺野君、遠山さんです。なんでも聞いてください。」
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chapter 005 名刺のマナー
§.1 名刺の基本的な扱い
名刺の扱い方については、上司や先輩もなかなか教えてくれません。実は彼ら自身が教えてもらった経験がありません。各人が自己流のやり方で長年通してきているケースが大部分であるため、おこがましくてとても後輩や部下に「教えられる」レベルではないと自覚しているからなのです。また、確たる作法というほどのものはそもそも存在していないからでもあります。
したがって、頂戴した名刺は大切に扱うべきものである、という基本的な姿勢さえ貫き、相手にもその気持ちがしっかりと伝わるようであればまずは問題ありません。以下に知っておいて損はない基本的マナーを掲げます。
- 何人かで他社を訪問したとき、受付で名刺を出すのは、その中でもっとも地位の高い責任者一人で差し支えありません。ただし、その場合「三人でお訪ねしました」等と言い添えます。
- もらった名刺・自分の名刺のいずれも大切に扱う習慣を身につけてください。そのためには、分相応の名刺入れを持つべきです。
※むき出しでポケットに入れておいたり、定期入れで代用するのは避けましょう。ビジネスマンとしての常識と品位を疑われます。
名刺入れについて、最近は革製ばかりではなくアルミニウム製やアタッシュケースのミニチュアサイズ型等のおしゃれなタイプも揃っており、しかも実にリーズナブルな価格で購入できます。
ちなみに、人気のアルミニウム製の名刺入れは、
●「アブラ取り紙」(=フェイスペーパー・・・額アブラぎとぎと中年おじさんの必需品)を入れるのに絶妙なサイズと構造になっています〔・・・→便利で大変重宝します(^o^)〕。
●れっきとした金属ですから、背広の内ポケットに年がら年中入れっ放しにしておくと、ポケットの布が擦り切れて穴が開いてしまいます〔(T_T)・・・→気をつけてください〕。
一方、伝統的な革製の名刺入れは、
●ブランド・高級品が揃っています。
●長年使っていると、名刺の直角の角が名刺入れの内側のどこかしらに当たり続けるため−−どんな高級品であっても−−粉状になった接着剤や革のカスが出てきて、名刺を汚すことになります(・・・→こうなったらもはや「寿命」で買い換え時が来たということになりましょう)。
両者の特徴を理解したうえで、−−ビジネスシーンに欠かせないとっておきの小道具である−−あなた好みの名刺入れを持ち、愛用してください。
以下は、「名刺入れ『売れている順ベスト6』」です(bidders提供)。
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- 差し出された名刺は、すぐにスマートに受け取りましょう。
※相手の名刺を受け取らないままいつまでも名刺入れを探し回っている姿は、実にみっともないものです。名刺入れを入れておく場所は自分自身でしっかりと決めておきましょう。
※受け取った直後には今度は自分の側からも渡さなければなりません。そのためには、自分の名刺を名刺入れから即座に取り出せるよう準備をしておかなければなりません。
・・・→一連の流れある動作となりますから、日頃から練習しておくに越したことはありません。慣れている人の動作は端から見ていても実にスマートで、「おおっ、こいつデキる(かも)しれない!」と相手に思わせてしまいます。
・・・・・・たまに、結果的に「動作だけはデキる奴だった」という訪問者もいます(^_^;)が、記憶には確実に残ります。
- あってはならない事態ではありますが、万が一、名刺の手持ちがなくなってしまった場合は、「あいにく名刺を切らしております」と断って、自分の所属と氏名をはっきりと名乗りましょう。
※手持ちの名刺があと何枚残っているのかがわからないようではビジネスマンとして落第といっても過言ではありません。十分注意してください。
※状況に応じて後日お詫びの手紙を添えて郵送することも必要です。
- 名刺をもらったら、相手の肩書き・名字をよく確認してから名刺入れにしまいましょう。
※名字はすぐ口から出るようにその場で記憶しなければなりません。初対面であっても「山下さん」と名字を呼びかけるのが、将来的によい関係を築くための重要な第一歩となります。 ちなみに、途中で名字を忘れてしまって、名刺入れをのぞくのはマナー違反であると心得ておきましょう(・・・逆の立場だったら、決していい気はしないですよね)。 ただし、初対面で相手が3名以上いて、一度に名字を覚え切れないような場合は、名刺をテーブルの上に並べて話を進めても差し支えありません。
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§.2 名刺の渡し方
◆地位の低い方から先に出すのが礼儀です。地位の上の人は、名刺をもらってから自分の名刺を出します。
※他社を訪問した場合は、地位の上下にかかわらず、訪問者から先に出します。あなたがA社の部長だとして、B社を訪ねたところ出てきたのが係長だとしても、あなたから出してください。
◆紹介が絡む場合、先に紹介された人から出してください。後から紹介された人は受け取ってから自分の名刺を出します。
◆相手が見やすいように逆に(=受け取る人がその名刺の文字を読みやすいようにして)出してください。尚この場合、右手で差し出すのが礼儀です。
◆黙って差し出すのではなく「瑞穂銀行の富岡と申します」と言葉を添えます。読みにくい姓名の場合は、特にはっきりと伝えるべきです(・・・→もっとも、このケースでは名刺上にふりがなが付されていてしかるべきではあります→→あなたの会社の人事担当部署の感覚は大丈夫でしょうか?・・・おっとっと、余計なお世話でした)。
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§.3 名刺のアフターケア
ビジネスマンにとって、一度もらった名刺は情報の基礎として利用価値が結構あります。「ダイヤモンドの原石」であることも往々にしてあります。日頃からの整理・管理は面倒くさがらずにやっておきましょう。
- 名刺をもらったら、その日のうちに日付・場所・用件・その日の話の成り行き等をメモしておきます。
こうしておけば、たとえば数年後に再会したときに、「あのときはこうでしたよね」と抜群の記憶力を相手に印象づけて、親密な関係を築くこともできます。
相手はほとんど忘れ去っていますから、「へぇ、こんなに自分との接点を大切に思っていてくれたんだ〜」と驚き、感動します。そして喜びます。
※名刺をじっくりと確認してから再会するのがミソではあります(^_-)。
- 受け取った名刺はファイルしておきます。個人名五十音順・会社名五十音順・業種別等、分類の仕方はいろいろありますが、自分にもっとも役立つと思われる方法がよいでしょう。
- 名刺は貴重な財産になります。もらったそのときは必要がなさそうだと思っても、すぐに捨てたりしないで、この類でとりまとめておいて、せめて1年間くらいは保管しておくのがよいでしょう。ある日突然「重要な切り札」にならないとも限りません。
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chapter 006 握手
握手のマナー
◆地位が違う人同士が握手する場合、地位の高い人から先に手を出すのがルールです。
ということは、地位の低い人から握手を求めてはいけません。
◆年齢の違う人同士が握手する場合、年長者から先に手を出すのがルールです。
◆地位・年齢とも同じような場合、謙虚に相手が手を差し出すのを待っても差し支えありませんが、こちらから先に求めても構いません。
◆男性と女性の場合、女性の方から先に手を差し出します。
ただし、地位が非常に違ったり、年齢差がある場合には女性の選択に任せましょう。
◆握手するに際しては、しっかりと握りましょう。
ただし、相手が女性の場合には軽く握るにとどめておきます。別の意味を含んでいると勘ぐられる危険がなきにしもあらずです。
◆握手するときは、相手の目を見つめ、なごやかに微笑します。
◆握手しながら、同時にお辞儀は絶対にしないでください。
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chapter 007 電話
§.1 電話をかけるときの留意点
電話で自分の伝えたいことを簡潔明瞭に相手に伝えるのは、実は結構難しいものです。相手が見えませんから、相手の状況(・・・余裕があるのかないのか、しっかりと聞き取ってくれる態勢が整っているのかいないのか・・・)が把握し切れません。どんなに声が穏やかで落ち着いていたとしても、ひょっとしたら厳しい厳しいクレーム処理の真っ最中で、とても他のことにかかずらわってはいられない状況かもしれません。声のトーンだけで判断することはできません。
相手がどのような状況にあろうと、嫌がられずに当方の伝えたいことの80%以上を伝える方策は以下5点に集約されます(→尚、電話の受け手のレベルによっては100%伝わる場合ももちろんあります)。
- 伝えるべき内容をはっきりと整理しておきます。
- 内容が複雑な場合は、あらかじめメモ用紙などに箇条書きしておいて、その部分の話が終わったら消していくくらいの慎重さが必要です。さもないと、電話を切ってから「言い忘れましたが・・・」と電話をかけ直さなければならないことにもなりかねません。これをやると相手に嫌われる、と心得ておいた方がよいでしょう。
- 番号未登録の相手にかける場合はきちんと番号を確認しましょう。うろ覚えのままかかけて間違っていたら時間もお金もロスすることになります。間違えられた相手もいい迷惑です。
- 相手の自宅にかける場合には「今お話してもよろしいでしょうか?」もしくは「2〜3分お話してもよろしいでしょうか?」と都合を聞いて許可を得る配慮が必要です。こちらの都合だけで一気にしゃべらないことです。
- 結論・お願いの意向・伝えるべき用件等を先に言いましょう。何の話をしているのかわからないと相手もいらつくものです。時間のロスにも結びついてしまいます。
また、内容がいくつかのパートに分かれている場合には、「報告とお願いの二つの件でお電話しました」と先に相手の注意を喚起しておく配慮も必要です。
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§.2 電話で伝言を依頼された場合の留意点
◆用件をメモし、簡単に復唱します。特に、日時・場所・人名や社名・金額・数量・電話番号などは相手にしっかりと確認しておくことが必須です。
◆自分の名前をはっきり名乗ると同時に、伝言メモにも自分が受けたことを明記しておきましょう。
◆電話を受けた時刻を記入しておくことも忘れてはなりません。こちらから電話をかけた方がよいのか、あるいはその必要はないのかも聞き取っておくべきです。
◆「○△時ころには帰社します」・「本日は戻りませんが、二時間後には連絡が入ることになっております」等、この伝言が伝わる時刻を言い添えておけば、相手は安心します。
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§.3 気をつけたい「聞き言葉」の誤解
日本語には同音異義語が多数あります。さらに、受話器を通すと間違えやすい言葉も意外と多いものです。そこで、敢えて言い直して確認することで、伝達のミスを防ぎましょう。
たとえば、
- 「企画・・・つまりプランニングの件ですが・・・」 《←「規格」と捉えられやすい。》
- 「私用・・・私の個人的な都合で・・・」 《←「使用」・「試用」・「仕様」と捉えられることもあります。》
- 「技士・・・エンジニアが一人伺います・・・」 《←「医師」と聞えてしまうことがよくあります。》
このほかに
- 「医学部」・「理学部」
- 「機械」・「機会」
- 「美容院」・「病院」
- 「構成」・「厚生」・「校正」・「更生」
- 「1」・「7」 《←「7」を「しち」と発音せず、敢えて「なな」と発音すると確実です。・・・「開始時刻は『ナナ』ガツ ジュウ『ナナ』ニチの午後『ナナ』ジですね」と復唱されると、おおっ、なかなかヤルねぇ、とちょっぴり感心します。》
- 「B」・「V」 《←英語の正確な発音を敢えてせずに「V」を「ぶい」と発音すると確実です。》
- 「B」・「D」 《←英語の正確な発音を敢えてせずに「D」を「でー」と発音すると確実です。》
- 「M」・「N」
いずれも正確に相手に伝えることを最優先に考えて、言い換え・補足等をしましょう。
また、上記にかかわらず、人それぞれの発声器官の微妙な違いにより一般的には確実に識別できるはずの二語が「その人独特の聞き取りずらい二語」となることがあります。たとえば、本人は「シックス」と発音しているのに「セックス」としか聞こえないようなケースがそれに該当します。
- 「昨日は『セックス』オーバーだったけれど気持ちよくやれてビールがうまかった。」
・・・状況が把握できていない人が聞いたら、ヤリすぎスケベおやじのトークにしか聞こえません。
・・・・・・・・・・・・・・・→えっ?なぁんだ、ゴルフの話だったのかぁ〜(^^ゞ。
複数の人から「えっ?」と聞き返されたら「あなた独特の聞き取りずらい二語」であると認識してください。そして、わかった以上は殊更違いが出るように意識して発音するか、あなたなりの補足をつけ加えるとよいでしょう。
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chapter 008 対外文書・メール
§.1 対外文書・メールの書き方のルール
会社から正式に外部に出す文書については、一定の形式上の決まりがあります。中身さえしっかりしていれば体裁は多少いい加減であっても構わない、というものでは断じてありません。あなたが営業に出るセールスマンであったとして、しっかり売り込んで売れさえすればそれでいいや・・・と考えてTシャツ姿で面識のない新規客と会うでしょうか。外見を気にしない客であったら何も問題はありませんが、失礼であると判断する客だったら商談に進む以前に取引は終了します。土俵に立つ前に完敗するのです。常識・良識と知性・教養は、体裁・外見ににじみ出るものであることを忘れてはなりません。
- 日付は「月日」のみならず「年」もきちんと入れ「年月日」で表記します。
- 発信者名は文書によっても異なりますが、「会社名」・「役職名」または「所属部署名」・「氏名」さらに「所在地」(もしくは「連絡先」)も記入します。
また、社印・責任者印・係印があれば、どこに出しても恥ずかしくないビジネスレターとなります。 ちなみに、印を押す場合、下級者は上級者の下に押します。並べて押す場合は、上級者が必ず左になるようにします。
- 受信者名と発信者名はある程度対応していた方が自然です。
受信者名が代表者名であるのならば、発信者は会社名で留めずに代表者名も入れるべきです。
受信者が責任者名になっている場合は、発信者もできれば同等以上の役職者とした方がよいでしょう。「一介の係員から責任者に」出す文書に関しては、相手の機嫌を損ねる危険をはらんでいるものであるということを知っておいてください。
もっとも最近は、上下関係が外部者にはわからない役職名を敢えて使っている企業も多く存在します(・・・たとえば、「部長」・「副部長」・「次長」→会社によって「副部長」と「次長」の順位がいろいろ/「リーディングマネージャー」・「シニアマネージャー」→確認しなければ皆目見当もつかず・・・)から、微妙な事例にぶつかったらケースバイケースで都度判断するのがベターです。
以下に、ビジネス文書としての体裁が整っているとされる実例を掲げますので、ご参照ください。
平成○◇年5月25日
げんきもりもり食品株式会社
営業部長 森 元吉様
株式会社帝国流通センター
購買部長 長島 貞治
〒113-0033 東京都文京区本郷1-2-○▽
03-3819-◇▽○□
商品についてのお問い合わせ
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、5月8日付で御社にご注文しました「ファイト!10発」3,000ケースに関しまして、納入期限の5月20日を過ぎましたが、いまだに届いておらず遅延のご連絡も頂いておりません。
この商品は、御社の新製品であるのみならず、中高年男性の精力増強に非常に効果的であるとの前評判も高いため、弊社の特定顧客に対して優先的に販売する予定でおります。
恐縮ではございますが、事情をお調べ頂いたうえで、至急発送に向けてお手配賜りますよう、お願い申し上げます。
敬 具
追伸 本状と行き違いにお手配済みの場合はご容赦願います。また、行き違いに着荷の場合は速やかにご連絡申し上げます。
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§.2 対外文書・メールの敬称の使い分け
敬称 | 使い方 |
「殿」 | 個人に対して用いる公式の敬称です。公文書や事務文書に用います。また、職名をつけた宛名にも使います(…下谷部長殿)。私信や一般的な手紙では使わないでください。 |
「様」 | 一般の場合に用います。職名を敬称に使う場合には使用しません。「梅田課長様」は、気持ちとしてわからないではありませんが、非常識な使い方です。 |
「御中」 | 個人宛ではなく、団体や会社宛に出すときに使います。 |
「各位」 | 同一文書をたくさんの人に出す場合に使います。 |
「御一同様」 | 一通の文書だけをたくさんの人宛に出す場合に使います(…営業部御一同様)。 |
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chapter 009 欠勤
欠勤する場合のマナー
欠勤する旨の電話を入れたところ、上司や同じ課の人がまだ出社していませんでした。たまたま電話に出た人に伝言だけをしてそのまま欠勤してしまう人がたまにいます。
しかし、一人の欠勤が全体の仕事やチームワークに少なからず影響を及ぼすことは事実です。そうであれば、
- 「どういう理由で休むのか」
- 「病気であれば、回復するまでどれくらいかかりそうなのか」
- 「仕事の状況はどうなっているのか」
- 「他の人に代行してもらわなければならない仕事はないのか」
くらいは、きちんと上司か同僚に直接連絡しておくべきです。
同時に、その日は自宅で休養しているのか病院に行くのか等も、きちんと伝えておきたいものです。仕事の進行上のことで、本人もしくは家族に問い合わせなければならないケースも起こり得るからです。
欠勤が3日以上にわたる場合は、途中で連絡を入れ、回復の状況報告もしておきましょう。
ちなみに、ポカ休は、確実に他者に迷惑がかかることをお忘れなく。また、上司は口では「お大事に」・「お互い様だからいいよ」・「ゆっくり治せよ」とは言いつつも、ハラの中では「しょうがないなぁ〜、困った奴だ。健康管理くらいもうちょっとしっかりできないかなぁ〜」と確実に思っているものです。
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chapter 010 立食パーティー
立食パーティーのエチケット[最低限5原則]
立食パーティーには独特のマナーがあります。立って飲んだり食べたりしつつ、そればかりに没頭することなく周囲の人と和やかに会話も楽しまなければなりません。
食事をするときはきちんと座って・・・と幼い頃から躾けられてきた身にとっては不自然この上もなく、いつまでたってもカラダが慣れてくれません。いかにも西洋的で、率直に言って疲れます。立食パーティー大好き!という方は日本人の中には実はそんなに多くはいないのではないかとの確信があります。同じお金を払うのであれば、フルコースのディナーの方がいいに決まっています。
立食パーティーに馴染めない方は、次のようにコペルニクス的発想の転回をして、割り切りましょう。 -
立食パーティーは「食事」ではない!
- 「社交のためのイベント」にすぎない!
とりあえずは「最低5原則」を掲げますので、これだけは記憶の片隅にでも留めておいてください。
- 皿に料理を大盛りにしてはいけません(…→これでは貧乏根性丸出し…)。少なめにとってきて、また食べたくなったら足を運ぶのがマナーです。
- 椅子に座りっぱなしはいけません。足腰の弱い老人のための椅子・疲れてちょっと一休みするための椅子と捉えて下さい。たまに、パーティーの開始と同時に壁際の椅子を占領してゆっくりと構えて飲んだり食べたりしている人を見かけますが、立食式のパーティーにはふさわしくありません。
- 仲間うちでかたまってはいけません。同じ会社や同じ組織の仲間が会場の一角に場所をとって、共通の話題で歓声を上げている場面は珍しくありません。でも、そもそも日頃顔をつき合わせている者同士が交流する場ではありません。二人でも三人でも新しい顔見知りをつくる、あるいはしばらく会っていなかった人と話すことを最優先にしましょう。
- 旧知の人と再会したとき、こちらは親しいつもりでも、先方は名前を忘れていることがあります(T_T)。したがって、「A社経理部の松田です。二年前に融資の件でお世話になりました。」と改めて自己紹介を兼ねた挨拶をすれば、会話もスムーズに流れ始めます。
- パーティーの帰りがけには、主催者側に必ず挨拶をしましょう。
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chapter 011 テーブルマナー
知っておきたいテーブルマナー[最低限5原則]
テーブルマナーも一朝一夕で極めることは困難です。常識のある大人・ビジネスパーソンとして「極める」必要は殊更ありませんが、必要最低限の基本だけはしっかりと押さえておきましう。要は、「基本動作」ができて下品でなければそれでO.K.なのです。
- ナイフやフォークがテーブルに並べられている場合は、外側から順番にとっていきます。デザートのスプーンとコーヒーのスプーンも間違えやすいものですが、向こう側のスプーンから先に使います。
※「遠方優先」と覚えておきましょう。
- オードブルに出たもので、手でとって食べてよいのは、セロリ・パセリ・スプリングオニオン・人参・グリーンアスパラガス・カナッペです。
- 西洋料理は、配膳されたらすぐに食べてよいのです。人数が多い場合には、配り終えるのを待っているうちに冷めてしまうからです。
- 料理を食べている途中で、食べるのを一休みするときは、皿の上にナイフとフォークを漢数字の「八」字状に置きます。また、食べ終わったとき、もしくは残ってはいるけれどもうたくさんという場合は、ナイフとフォークを皿の上に時計の「4」位置にそろえて置きます。
- 途中で席を立つとき、ナプキンは椅子の上に置きます。テーブルに置くのは食事終了時となります。
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