preface 〜はじめに〜
慣習・伝統的な風習を軽視すべきではありません!
年中行事は、お互いに幸運や健康を祈願し、また亡き先祖への追善供養を行い、そして人々が寄り合いながらよりよいコミュニケーションをはかる古来からの生活の区切りともいえるものです。
育った環境によっては、また学童期の担任教師等の影響によっては、軽視する向きもあります。
しかし、上記の趣旨に思いを致してみれば、決して古いとか、迷信にすぎないと馬鹿にして片付けてよいものではありません。
よりよいつき合いのために、年中行事のそれぞれは立派にその役目を持っています。
よくある年中行事についての本質を理解したうえで、スマートに振る舞いましょう!
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chapter 001 新年の挨拶
§.1 「新年おめでとう」は、いつから言っていいのか?
正式には、除夜の鐘がなり終わってからです。
除夜の鐘の百八つという数は、一般には人間の百八煩悩を除くためだといわれていますが、本来は中国の仏教様式からきたもので、一年の十二か月と、二十四節気、暦の季節的な分け方、大寒、小寒などの七十二候を合わせた数です。
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§.2 年賀状はいつまでなら通用するか?
本来であれば、1月中なら年賀の祝いを出してもよいのですが、2月目前に年賀状が届いたら、さすがにびっくりします。驚くだけならまだしも信用を失う危険もあります。
1月15日が限度でしょう。
1月も半ばを過ぎたら、寒中見舞いにした方が無難かつ常識的です。
なお、先方からきちんと年賀状をもらっているケースで、本来であれば上旬に届くように投函できたのにもかかわらず遅くなってしまったような場合には、寒中見舞いの中で一言コメントするべきです。
どうせ遅くなってしまったのだから・・・と、電話・口頭・電子メールだけで済ませるようなことは絶対にしてはなりません。
相手は、あなたのためにわざわざ葉書きを購入して文面を書いてポストに投函するという面倒な手順を踏んでいるのです。同じ手順を踏んだお返しをすることで、相手も納得し満足します。遅くなってしまったからといって、この面倒な手順をカットされたら、相手は自分が軽く見られていると感じると同時にあなたのことを礼を尽くさない非常識な人間であると見なすようになります。どんなに丁寧な言葉でご挨拶して謝意を表したとしても、口先だけでお茶を濁そうとしている、としか受け止められません。注意してください。
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chapter 002 暑中見舞い
暑中見舞いの時期
年賀状と並んで、暑中見舞いは日ごろ顔を合わせる機会のない人に近況を伝える打ってつけの手段です。
送る時期は、七月中旬から八月八日の立秋までです。
立秋を過ぎたら「残暑お見舞い」とします。いくら暑いからといってお盆の時期に「暑中見舞い」を送ってしまったら−−その気持ちは理解されつつも−−常識と教養を疑われます。「立秋」を過ぎての暑さは、その勢いに衰えがあろうとなかろうと「残暑」なのです。
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chapter 003 お彼岸
§.1 春分の日・秋分の日
春分の日≪毎年3月21日または22日頃≫を中心に、その前後三日間ずつ、合計して七日間を春の彼岸、春分の日を「春の彼岸の中日」といいます。
秋分の日≪毎年9月23日または24日頃≫を中心に、その前後三日間ずつ、合計して七日間を秋の彼岸、秋分の日を「秋の彼岸の中日」といいます。
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§.2 彼岸とは
「彼岸」とは、仏教の言葉です。様々な煩悩に満ちた現世を「此岸」(=しがん)というのに対して、煩悩から脱却して悟りを開いた涅槃の境地を「彼岸」といいます。
仏教では、阿弥陀如来の国である極楽浄土は西方十万億土のかなたにあるとされています。よって、仏教徒は西の方角に対して強い憧憬の情を抱いています。
春分・秋分の日には、太陽が真西に沈むため、「極楽浄土のある方角」が正しくわかります。今日の年中行事としての「お彼岸」は、真西の方角がはっきりわかる春分の日または秋分の日の前後七日間であればこそ、寺参りや墓参りをして亡き霊を供養するとともに、自分自身も悟りを開いて「彼岸」に到達することができるように・・・と殊更祈るようになったのがそもそもの始まりです(・・・→彼岸会=彼岸に行う仏事)。
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§.3 春分・秋分とは
「春分」とは、二十四節気(→下表)の一つで、太陽の中心点が春分点に来たとき、つまり太陽の黄径が0度になるときを表す言葉です。このとき、太陽は地球の赤道の真上に来るので、全地球の昼と夜の長さは等しくなります。
「秋分」も二十四節季(→下表)の一つで、太陽の中心点が秋分点に来たときを表す言葉です。このとき、太陽は地球の赤道の真上に来るので、春分同様に全地球の昼と夜の長さは等しくなります。
この両日を国民の祝日(・・・具体的に何日にするかは、前年2月1日付官報で発表)とした趣旨は以下の通りです。
- 「春分の日」=「自然を讃え、生物を慈しむ」
- 「秋分の日」=「祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ」
しかし、仏教徒は伝統にしたがって、この両日をそれぞれ「春の彼岸の中日」・「秋の彼岸の中日」と呼び、その前後七日間は寺で仏事を行ったり墓参をして亡き人の霊を慰めます。
なお、仏教徒は七日間の最初の日を「彼岸の入り」と呼びます。
◆二十四節気(二十四気・二十四節)◆
陰暦では、黄道を二十四等分し、その各等分点に太陽の中心が来た時期を二十四節気と定め、さらに六節ずつを「春」・「夏」・「秋」・「冬」の四季としています。 これを表記すると下表のようになります。なお、日付は陽暦で年によってずれが生じます。
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春
立春=2月4日頃 | 雨水=2月19日頃 | 啓蟄=3月6日頃 |
春分=3月21日頃 | 晴明=4月5日頃 | 穀雨=4月20日頃 |
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夏
立夏=5月6日頃 | 小満=5月21日頃 | 芒種=6月6日頃 |
夏至=6月21日頃 | 小暑=7月7日頃 | 大暑=7月23日頃 |
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秋
立秋=8月8日頃 | 処暑=8月23日頃 | 白露=9月8日頃 |
秋分=9月23日頃 | 寒露=10月8日頃 | 霜降=10月23日頃 |
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冬
立冬=11月7日頃 | 小雪=11月22日頃 | 大雪=12月7日頃 |
冬至=12月22日頃 | 小寒=1月5日頃 | 大寒=1月20日頃 |
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§.4 彼岸のお墓参り
まずは、墓石と墓地を掃除します。
- 墓石に手桶の水をかけ、たわしなどでこすって埃や苔をとります。
- 墓地のまわりの雑草を抜きます。
こうしてこざっぱりと綺麗にしてから、花を花立てに飾り、束になった線香に火をつけて束のまま供えます。
縁の近い者から順に墓前に進み、新しく汲んできた手桶の水をひしゃくに汲み取って、墓石の真上からかけてから拝礼します。
- 墓石に水をかけるのは、仏様に水を飲ませてあげる行為であるとされています。
参列者が順々にかけていき、最終的に乾いたところが残らないようにまんべんなくかけるのが故人に対する最大限の思いやりのあらわれであると捉えてもよいでしょう。
なお、仏壇のある家では「彼岸の入り」の前日までに仏壇を清掃して花を飾り、「彼岸」の間は毎日故人の好物や果物、彼岸だんご・おはぎなどを供えて供養します。
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chapter 004 餞別
餞別のマナー
企業によって差はあるものの、一般的に三月は異動や転勤が多く、人と別れる時期といえます。こうした異動には餞別がつきものです。
餞別とは、その昔、親しい人が旅立つに際してはなむけとして旅費の足しにと現金を贈ったのが始まりとされています。
したがって、現代でもかえって荷物になる記念品よりも現金の方がよいようです。とはいえ、企業ごとに慣習ができあがっているのが普通ですから、脈々と続いているその慣習に則って行動するのがベターです。
ちなみに、餞別をいただいた側では別に改まって餞別に対するお返しをする必要はないとされています。
無事に新しい任地に着任してから、着任の挨拶・近況報告を兼ねて礼状メールを出す程度で十分です。
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chapter 005 引っ越し
引っ越しのあいさつ
新しい住居に移ったときには、やはり近所に挨拶をしておくべきです。
近頃では、隣の住人とも没交渉になりがちです。だからこそ、こちらからコミュニケーションのきっかけを作る意味でも挨拶は必要です。
タオル・石鹸等日常使うものを携えて、「引っ越してきた○▽です。よろしくお願いします。」と回るだけのことです。
アパート・マンションであれば同じ階の両隣と上下の家は必須です。それ以上拡げるか否かは立地・建物内の慣習等を総合判断して決めてください。
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